井上病院は宮崎県の県北 延岡市にあります産婦人科・小児科病院です。

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医療法人社団育生会 井上病院
〒882-0866
宮崎県延岡市平原町1丁目990番地1
●産科・婦人科
TEL:0982-21-5110
FAX:0982-21-6087
●小児科
TEL:0982-23-7402
 
高千穂産婦人科診療所
〒882-1101
西臼杵郡高千穂町大字三田井
1099番地14
●産科・婦人科
TEL:0982-82-2722
FAX:0982-82-2702
007866
 

子供の事故例とその対策②

   
その①の復習。
人間は不注意をおかす生き物であり、子供に常に注意払うのは無理!
不注意をおかした時、さらに不運が重なると事故が起こる。
だから不注意が起きても良い環境を作っていきましょう。

抱っこひもやスリングによる事故は結構あります。
立位では母親の体に密着していても,また紐をどう調節しても,母親が前かがみになった際に,児と母親の体の間に隙間が生まれることが確認された商品などがあります。
この商品の会社は
「抱っこ紐を使用するときには赤ちゃんが落下しないように注意しましょう」
「抱っこ紐を利用するときには前屈姿勢をしないように注意しましょう」
などと購入者に注意を促していました。
こどもの生活環境改善委員会のコメントでは指摘するだけでは予防できず.製品を改善することが必要と結論付けました.
注意を促すのではなく、かかんでも落ちない使用にしてくれればいいのです!
こういった商品は、人知れず今なお売られています。裁判になったり、事故を起こした人が騒ぎ立てたりしなければ、明るみにはなりません。
 
事故例6:児(4か月)を抱っこ紐に対面で固定している状態で、券売機にて券を購入しようと70~80cm程度の高さの台にカバンを置いた.カバンから財布を出そうと少し前かがみになったときに抱っこ紐の右脇から児が滑るように頭部を先進部にしてコンクリートの地面に転落してしまった.抱っこ紐のベルトはすべて閉めていた.

2010年3月12日,アメリカ消費者製品安全委員会(CPSC)は4か月未満の乳児にスリングを使う場合 の窒息の危険性について警告情報を発表した.この報告によると,過去20年間にスリングによる乳児死亡は14件で,このうち4か月未満が12件であった

死亡原因として,スリング内での頭頸部屈曲による上気道閉塞,体部前屈による胸郭拡張制限,体温調節異常などが考えられている
どちらを使った方が良いとは申し上げにくいですが、ものが言えないあかちゃんの姿勢に注意し、くるしそうな顔つきや呼吸がしづらい、してないなど気をつけてあげましょう。基本的には鼻呼吸ですので、鼻を覆わないようにしましょう。
 
こんなこともよくあります。
乳児用ベッドからの転落です。
 
頭が1つ出る程度だと登ろうとすると頭から下に転落する可能性があります。
育児用品は,足がかかる位置からの柵上部までの高さが50cm以上となる構造にしないと転落が発生する.と言われています。

事故例7:児(11か月)の体重は9kg、身長は73cm.発達段階は伝い歩きができる状態で、抱っこすると上に上にのぼろうとする発達状態であった.急に泣き声がしたので、周囲の人が和室に行ってみるとベッドの中にいたはずの子どもが和室の畳の上に倒れて泣いていた.ベッドの柵の上段からは児の頭が完全に出るくらいであり、柵の下段10cm程度のところには足かかりがあった。

「1歳前後の児を想定すればベッド柵は、床ではなく足かかりから柵上部までは最低50cm以上確保して下さい」この方が転落防止になります。
子供は日々成長するので、つかまり立ちのしぐさを取るくらいからベッドの高さや柵の高さを調節できるものはしましょう。
私が救急外来で対応した例では、台所で料理をする際に顔が、見えるようにと考えてテーブルの上にバンボという椅子に児を座らせていました。これまでに1度も這い出たことはなかったのですがその日は椅子から這い出て頭から床に落ちて受診しました。頭蓋骨に骨折は認めませんでしたが少量の脳出血が認め入院となりました。
バンボから落ちたという例は何例も経験があります。必ず床に置いて使いましょう.

老人は昨日出来たことができなくなるので事故がおこりますが、子供は昨日出来なかった事が出来るようになるので事故が起こります。
発達状態も考えて「目を離してもよい環境作りをしていきましょう。」
常に注意しているのは無理ならば、注意しなくても良い環境を作れば安全は確保されます。

びっくりして誤嚥に至った例。事例8,9
用語説明;誤飲(ごいん)は飲み込んだものが食道や胃に入ること。のみこんだ物質そのものに毒性がなければたいしたことにはなりません。
誤嚥(ごえん)とは、飲み込んだものが空気の通り道である気道に入り込むことです。空気が吸えなくなれば数分で命を落としますし、そこまでいかなくても肺炎などの原因となり誤飲と比べて格段に危険です。

乳児ではうつぶせで体より頭を下にする姿勢をとらせすぐに背中を叩きだす努
力背部叩打法
:膝の上に顔を下にむけて・頭をより下にくるような姿勢にして乳児を置き、背中を叩く。
歩くようになってきた小児なら腹部突き上げ法(ハイムリック法)か、可能なら背部叩打法をしましょう。窒息を疑われればすぐに救急車を呼んだ方が良いです
事故例8:3歳9か月の児が口の中にスーパーボールを2つ入れて遊んでいた.たまたま気づいた母親が「危ないのでボールを口から出しなさい」と叱ったところ、驚いて2つのうちの1つを吸い込み窒息状態となった.
事故例9:2歳児が苺を模した木製玩具(中心部の直径:3.5cm)の先端部分をふざけて口腔内へ入れ、母親に見せにきた。母親はいつもすぐに出すように注意していたが、当日はいつになく厳しい口調で叱ったためか、ムキになった児は頑なに口を閉じ誤嚥に至った。母親が口腔内からかき出そうとしたが奥へ陥入し、すぐに背部叩打法を行っても摘出できず、母親が119 番通報を行った。

口の中にものを入れている児に急に叱りつけたり、大きな声をだすのは危険ですそういった場合はあわてず、やさしく言って聞かせましょう。親が驚いて大きな声を出せば子供もびっくりして飲み込んでしまったりするリスクが増します。
もちろんびっくりしなくても誤嚥、誤飲に至った例はたくさんあります。
転ぶ、走るという動作も誤嚥・誤飲につながりやすいです。

事故例10:家族で夕食を摂り、入浴後、本児(2歳)にたばこ状の円柱の砂糖菓子を与えた。本児ははしゃいで居宅内を走り回っていた。父母のいた台所から、祖父母のいた居間へと走り込んだ際に様子がおかしくなり、祖父母が「何か喉に詰めたようだ」と声を上げた。父母が近寄ると本児が苦しがっていた。窒息したと考えた母が口の中に手を入れると、喉の奥の方で折れた棒状のものの端に指先が触れた。母はそれがたばこ状の砂糖菓子ではないかと考え、取り除こうとしたがうまくいかず、そのうち指先に触れなくなった。
 
子供のいたずらや好奇心で事故が起こる例。
事故例11:2歳の姉が消毒剤錠の封を切って錠剤を出し、それを9か月児の妹の口腔内に入れた.その後、呼吸が苦しそうになったため近医を受診し入院。のどが焼けただれ、のちに気管切開となってしまった。
 
新しいタイプの洗剤でもありましたが、姉が世話焼きのつもりなのか、小さい乳児の口にそういったものを放りこむということは稀に報告されています。

電池を口に入れて遊ぶ→電池誤飲(胃、食道)
事故例12:午後0時20分頃、居間の引き出しに入っていたコイン型電池(直径2cm)が1個不足していることに母親が気づいた.その後、児(1歳2か月)が嘔吐し、さらに唾液様のものを3~4回吐き、苦しそうにしていた.このため母親はコイン型電池の誤飲を疑って救急車を呼んだ.食道に電池が確認され摘出したが数日後の内視鏡再検査で食道狭窄、食道粘膜の腐食・壊死が確認され、胃瘻造設を行い経管栄養が開始された.
 
体温計やキッチンタイマー、補聴器、おもちゃなど身近なものの中に電池が入っていることは多いです。きちんと蓋がしてあっても、子供があけてしまったり、しらずに開いたり、壊れかけてきちんと蓋がしまらないと中から電池が出てきてしまいます、不思議なことに電池をみつけると口に入れてみる子供(特に1歳くらいの児)は思った以上に多いです。飲まずに出す子がいる反面、口に入れているとある一定の率で飲み込んでしまう子がいます。
電池の怖さは大きさでだいたい判断できます。1円玉ほどあるコイン型電池はリチウム電池であり、電力が高く胃や食道に穴をあけてしまうことがある大変危険なものです。
もっとも流通しているボタン型電池は直径が12mm程度のLR44というアルカリ電池です。危険性はリチウム電池よりは劣りますが、安全ではありません。
1円玉ほどあるリチウム電池は死亡例も報告されており、決して児が触ることができない環境にしましょう。(そういった製品は極力つかわないこと!)
 
予想外のことから起こる事故
しつけ箸による損傷 
尖った物に付けて幼児が使用する補助具は,転んだりしても手指から簡単に外れる仕掛けでないものは危険が伴う。(使うときは、歩いたり、遊ばせない事)
事故例13: 4歳児が食事中にしつけ箸をしたまま椅子から転落したところ、下顎中央にしつけ箸の先が刺さった。(箸は右手の3本の指が箸のリングにしっかりとはまったままであった)。

蛇口による乳臼歯の脱臼 
事故例14:入浴中に、患児(1歳9か月)が水道の蛇口から直接水を飲もうとした際、蛇口から顔が離れなくなった.母親が体を引き離したところ下顎左側第一乳臼歯が蛇口側にくっついたまま脱落した。
 
私の子供(当時2歳)がこの事故をしった後に、お風呂で水道の蛇口に口をつけようとしているところをみてゾッとしました。
これは報告例もちらほらあり、蛇口穴にちょうど乳歯がはまる構造なため改善が望ましいものです。子供が浴槽に入っている時は蛇口が浴槽から反対方向に向けて、遊んだり触ったりさせないようにしましょう。蛇口の穴の構造を改善してくれるといいのですが・・・

ストロー付きコップの構造 ストローが固いものは歯ブラシと同様に注意
他に串カツ、焼き鳥串、アメリカンドッグなど歩き食べなどして転倒でもしたらと思うと、とても恐ろしいことです。串は抜いて与えましょう。歯ブラシを歩いてしたり、口にくわえて移動するなどする子は、歩かずにじっとできるようになるまでは、親が磨いた方が安全です。転んでのどに刺さると、運が悪いと脳に達する危険性やのど傷つきが化膿するおそれがあります。

自宅内のカーテンやブラインドの紐が原因となる縊頸(首つり)は,諸外国では古くから報告されています.1997 年のJAMAの論文(1)では,1981年から1995年のあいだに米国内で183例の死亡があり,その93 %が3歳未満の乳幼児であったと報告されています.
カーテンの留め紐の下端は床から1m以上の高さになるように設置することや,ループ状の構造があり,幼児の体重がかかった時にループが外れない製品は子どもの生活環境から排除する必要があります。

ウイルス除去と称されている製品(空間除菌タイプ)による中毒
製品自体の効果は全く実証されておりません。二酸化塩素に酸化力があり消毒剤や漂白剤としては使われているようですが、空気中に充満させて定常状態にした濃度(かなり低濃度)でウイルスを酸化して、不活化させる根拠は全くありません。まして歩きながら首にかけたって、風と共に周囲に拡散して濃度が保てるとはとても思えませんし、実際に効果あるという根拠はまったく示されておりません。そして空気より重いためより下に拡散し、じっとしていれば足元にはもしかするといいかもしれませんが、呼吸する口や鼻などは全く無意味でしょう。
インフルエンザなどウイルス不活化に有効な濃度はいくつであり、通常の使用方法でそれ以上の濃度が保たれると科学的根拠が示されない限り使わない方がいい
そして、部屋置きタイプを間違って子供が飲んでメトヘモグロビン血症になった事故がありますので賢明な方はこれを使わない方が子供のためですし、効果のないものにお金をかけない方が経済的だといえるでしょう。
二酸化塩素を利用した空間除菌を標ぼうするグッズ販売業者17社に対して、消費者省(平成26年3月27日)はこれらのグッズを景品表示法に違反する行為(表示を裏付ける合理的根拠が示されず、優良誤認表示違反に該当するとしています。
もし本当にウイルスを不活化する効果がある程の濃度で消毒剤が空気中に充満した部屋に住んでみたいor子供を置いておきたいと思いますか?
米国職業安全衛生局は職業性暴露の基準を0.1ppmと定めているそうです。せめてその0.1ppmで不活化する能力があるか示してくださいって思いますし、これら製品でどの程度の空気中濃度が保たれるのか表示して下さいっことです。
結論「空間除菌は根拠がない企業の妄想。しかも誤って飲んだらメトヘモグロビン血症をおこす!」
余談ですが、吊るすだけで虫よけも根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、消費者庁が2015年2月下旬に措置命令が出されています。

君子は怪しい商品には近寄らずです。
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